歯周病の治療は、進行すれば進行するほど困難になります。重度の歯周病は、治療をしても元通りにはなりません。改善はしますが、元の健康な状態に戻すことは現在のところ困難なのです。
そのため、歯周病は罹患しないこと(予防すること)、進行させないことが大変重要になってきます。
「歯周病治療は痛いのでは?」と不安を抱いている人も多いと思いますが、痛い治療をしないように、早めに治療を開始することが大切でしょう。
歯周病治療を行う前に、歯周病の進行度を確認するため、次のような検査を行います。
プロビング検査は、プローブという器具を歯周ポケットに挿入して、歯周ポケットの深さを測定します(ほとんど痛みはありません)。
また、レントゲン検査では、歯周病による歯槽骨の吸収を確認します。
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中期 |
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歯周病の最大の原因とも言える、プラークをしっかり除去します。プラークは、ブラッシングで除去することも可能ですが、歯ブラシの届きにくい部分にプラークが溜まっている場合が多いです。
日頃の磨き残しが蓄積しないように、磨きにくい部分の汚れも、プロのケアでしっかり落とします。
歯周病の原因菌のすみかである、歯石を除去します。自分で歯石を除去する道具(スケーラー)も売られていますが、自分で行った場合に歯茎を傷つけてしまうケースも少なくありません。プロに行ってもらうことをお勧めします。
スケーリングでは除去できない、歯周ポケットの奥の歯石や感染した歯質(セメント質)などを除去します。ルートプレーニングで痛みが生じる場合には、局所麻酔をして行います。
重度の歯周病になると、歯石や感染した歯質を外科的処置で除去します。ルートプレーニングでは除去しきれない、歯周ポケットの奥の汚れを、歯茎を切開して除去するのです。また、歯槽骨の形態を整えたりもします。
歯周外科を行うことで、歯周ポケットの奥に溜まった歯石・感染歯質を取り除くことができ、歯周ポケットを浅くすることができます。
歯周ポケットが浅くなることによって、歯周ポケットの清掃が行いやすくなるというメリットがあります。
保険が適用となりませんが、歯周病菌に壊された歯周組織を再生させる治療もあります。
歯周病により歯槽骨が吸収されてしまうと、歯茎も下がってしまいますが、減ってしまった骨や歯茎を再生させるのです。
保険治療で行う場合、スケーリングで1,000円前後、ルートプレーニングで数百円(歯1本当たり)、歯周外科治療で3,000円前後と言えるでしょう。
ほとんどの歯周病治療は保険でできますが、歯周内科治療の薬物治療や、先に紹介した歯槽骨や歯茎の再生治療などは保険が適用になりません。保険外治療の費用は、歯科医院によって異なります。
歯周病の治療期間は、進行度や口の中の状態によって違ってきます。しかし、治療が終わっても、定期的なメンテナンスが必要になります。そのため、メンテナンスも含めると、長期的な通院が必要になると言えるでしょう。
歯周病が進行して、他の歯に悪影響を及ぼす可能性が高い場合には、抜歯を行う場合もあります。
1本でも多くの歯を残したいところですが、口の中全体を考慮して、残しておくことが良くないと判断される場合には、抜歯をする場合もあります。
歯周病治療が一通り終わっても、気を抜いてはいけません。セルフメンテナンスを行うことが必須ですが、定期的な歯科医院でのメンテナンスも必要になります。
検査やクリーニング、歯石除去、歯磨き指導、フッ素塗布など、歯周病を予防・進行を防ぐプロフェッショナルケアが必要になります。
また、必要に応じて、より効果的なメンテナンスを可能にするため、唾液検査などを行う場合もあります。
クリーニングや歯石除去で歯周病予防や歯周病の進行予防ができますが、プラークがつきやすい状態や歯に負担をかけやすい状態を改善することも必要です。
噛み合わせが悪いと、一定の歯にかかる負担が大きくなりますし、古い被せ物がプラークを付着しやすい環境を作っている場合もあります。
そのため、噛み合わせの調整や被せ物の作り直しなど、歯周病になりにくい・歯周病を進行させにくい環境作りのための治療を行う場合もあります。
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