歯周病は、国民病とも言われる炎症性疾患です。2005年の厚生省による歯科疾患の実態調査では、歯周組織が健全と判断されない人が8割にも達したのですから、誰もが注意すべき歯科疾患だと言えるでしょう。
何より、歯周病は進行すると歯の脱落を招く恐ろしい病気であり、完治が困難な病気です。
歯周病を進行させない、歯周病感染を予防する、ということが重要になるのです。
歯が痛くなって歯科医院に駆け込む人は多いですが、歯周病の場合、痛みがほとんどありませんから、気付かずに放置してしまう人も多いです。
歯周病は、以下のような自覚症状があります。当てはまるものがあるならば要注意です。
複数当てはまる場合には、早めの受診をお勧めします。
歯周病菌が繁殖すると、歯周病菌が作り出す物質によって歯肉に炎症が起きます。これが歯肉炎です。
歯肉炎になると、歯肉が腫れや出血が起きたりしますが、まだ歯周病の初期段階と言えます。この段階で歯周病治療を始めることが大切です。
しかし、歯肉の腫れ・出血があっても痛みはないため、この段階で治療を始める人は少ないのが実状です。ちょっとした歯肉のトラブルも見逃さず、歯周病のサインに気付いてあげることが進行させないポイントと言えるでしょう。
「歯周ポケット」という言葉を聞いたことがあると思いますが、歯周ポケットとは、歯と歯肉の隙間を言います。歯と歯茎の隙間に細菌が入り込んで繁殖し、どんどん歯周ポケットを深くしていきます。
さらに、歯周ポケットの中で細菌は毒素を作り出し、歯周組織を破壊していきます。歯を支えている歯槽骨までも破壊し、歯をグラグラにしてしまうのです。
歯肉炎が進行すると、歯周炎を生じますが、この段階になると歯周病は進行している段階です。早めの治療が必要になります。
歯周ポケットの深さ |
進行度 |
2ミリ以下 |
歯肉が健康な状態 |
3~5ミリ |
軽度の歯周炎 |
4~7ミリ |
中度の歯周炎 |
6ミリ以上 |
重度の歯周炎 |
歯周ポケットが3~5ミリで骨の吸収が始まります。4~7ミリになると骨吸収は進み、歯のグラつきも生じてきます。
そして、さらに歯周ポケットが深くなり6ミリ以上になると、骨吸収も進んで歯はグラグラの状態になり、ひどくなると脱落してしまいます。重度の歯周病では、歯周ポケットが10ミリを超える場合もあります。
歯周ポケットの深さは、歯周病の進行を判断する一つの目安となりますが、骨吸収の度合いや破壊された歯周組織の程度など、実際の診断では多くのことを踏まえて行います。
歯周病は、口の中の健康にダメージを与えるだけではありません。歯周病が全身に悪影響を及ぼすという報告もあります。
歯周病菌が作り出した毒素は、血液に乗って全身に運ばれ、さまざまな症状のリスクを高める(悪化させる)とされているのです。歯周病が影響する全身症状には、次のような疾患があります。
Copyright (C) 2013 歯周病専科 All Rights Reserved.